絶対、今日こそ
きょ…
今日、こそ!
言ってやる!!!!!
煙草
「あっ明彦(あきひこ)…あのさ………」
「どうした?」
「いえ!なんでもありません!!!」
「…あっそうですか。」
私の反応に呆れてしまったのか、そう言うと彼は吸っていた煙草の灰を灰皿に落とすと、再び煙草をふかし始める。
一方その隣では、落ち込む1人の19歳の女。
そう、落ち込む女というのは他でもないこの私。
私の彼氏はなんと、アイドルです。
私より5つ年上(24歳)なのもあって、よく甘えさせてもらっているし、何より頼れる存在の彼。
そんな彼に、私は隠し事をしている。
彼は煙草の税金が、あれほど高くなっているのにもかかわらず、大のヘビースモーカー。
私は吸わない。
いや、吸え
ない。
でも、本当はね
吸います。
かなり吸います。
どうして彼に言えなかったのか。
…それはちょうど、この日、3月9日の1年前にさかのぼる。
―――……
「ごめんなさい!」
「…うん」
「おっ怒ってる?」
「…ううん」
その日は久しぶりのデートで私がなんと3時間の大遅刻をしてしまった。
しかも待ち合わせ場所は駅前の公園。
私が電車通学ということでここが一番いいだろうと、明彦があのときは優しい表情で言ってくれた。
しか〜し!
今は誰が見てもわかる暗いムスっとした表情。
「えっとね…今日高校の卒業式でさ!思いのほか打ち上げが長引いちゃって…それで…」
「…誰と?」
「くっ…クラスの人とか……」
「男も?」
「そりゃ〜私の学校共学だし」
そう言うと、彼の表情がだんだん曇っていくのがわかった。
それを見て私はすぐにわかった。
やっば
明彦、ものすごいヤキモチやきなんだった
私はどうやって声をかけていいのかわからず、あたふたしていると、黙っていた明彦が急に話し出した。
「……告白…」
「へ?」
きっと私はものすごくまぬけな顔をしていたと思う。
けれども彼はものすごく真剣な顔で
「こっ告白されなかったか???!」
と、大声で言った。
明彦はとても人気があるから、普段はそれを気にして大声なんて出さなかったけれど
このときだけ、そう言った。
…案の定、周りに居た数人の若い女の子たちに気づかれて大変な目にあったけど
でも、まさかそんなことを考えていたなんて
私よりガキじゃん
そう思って笑ってしまった。
それから近くに止めてあった彼の車の乗って、夜の11時頃だったのもあって暗かったため、その場はなんとかまぬがれた。
…その車内での会話。
その会話が、そもそも現在の私にいたる結果になった。
「なぁ」
「何〜?」
私は窓の風景を楽しみながら答える。
「…悪いんだけど、煙草吸っていい?」
「うん。いいよ〜煙草好きだし」
「えっ?お前嫌いって言ってなかったっけ?」
「…え?そっそうだっけ〜?」
「うん。まぁいいや。ごめんな。ちょっと吸ったら消すから」
あっやば(←本日二回目)
実は私、17歳から煙草を吸っていました。
でもその頃ってちょうど知り合いから明彦を紹介してもらった頃で
好きになってもらいたくて
かわいい女の子だと
そう思って欲しくて
そう、思ってもらいたいが為に、軽く出た言葉だった。
「あっ煙草は嫌いな女の子ってことでよろしく」
だって明彦ってば、雑誌では「煙草は吸いません」なんて言ってたんだもん。
それにまだ私は未成年だし…。
だからそんな嘘をついた。
いつか言おうと思ってた。
でも、私は!!!
言えなかった。
と、いうか、言うタイミングを逃してしまった。
あのとき
ちゃんと言えていたら今頃、二人で煙草吸えてたのに。
(いや、別に二人で吸いたいってわけじゃないけどさ。)
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