「……『返事、待ってる』…か……」
この時、自分がどうすれば一番いいのかが,
私は冷静に考えられなくなっていた。
それに、元カレのことを考えてばかりで
今のカレのことなんて、正直考えていなかった。
送るか、送るまいかを悩んでいる時は。
その証拠に、私は和弥に相談するという考えは全く浮かばず、沙恵にしか言わなかった。
だから私は気がつくと、元カレのもとにメールを送っていた。
本文
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私にとっても長い3年間だったよ。
一緒に、手を繋いで帰った日。
初めて二人で遠くまで出かけた日。
まだ全部私の心の中に残ってるよ。
すごく楽しかったから。
でも、もう会えません。
もう、過去のことでしょ?
私たち、別れたでしょ?
ごめんなさい。
大好きだったよ。
―――送信完了しました。
携帯の画面に表示されたと同時に、私は携帯を閉じた。
「…ふぅ。」
でもなぜか不安になって、もう一度携帯を開けて、先程送ったメールを確認した。
よし…誤字はない…
きっと返事はないだろう。
でも、もし返事が来たら?
私はどう返事をするのだろうか。
それとも、そのまま彼は返信してくれないのだろうか?
しかし、私は誤字なんかよりも、もっとバカなことをしていた。
「…え……うっそ…」
こんなにも自分がバカな人間だったとは知らなかった。
「まっ…」
間違えて、『元カレ』に送るはずが、『今カレ』つまり、和弥に送ってしまっていた。
ヤバイ!もう終わり…全て…
そして、そんな私にさらに追い討ちをかけるかのように手元にある携帯がメールの受信を知らせる。
もちろんそのメールは、元カレからではない。
和弥からのメール。
見なくてもわかる。
この着信音は、和弥からのメールを知らせる曲なのだから。
私はとりあえず…
お風呂に入ることにした。
理由の1つはもちろん、リラックスさせるため。
2つ目は…和弥からのメールを読む勇気がないから…
けれども、昔からお風呂は早く出る方だった私は、自分では長く入っていたつもりだったのに
たったの10分しか入っていなかった。
「はぁ〜……」
私は覚悟を決めて、携帯を開けた。
こんなにも、たった一つのメールを開けるのに覚悟を決めたのはこれが最初で最後ような気がする。
もう、おしまい。
和弥とは、こんな形で終わらせたくなかったな。
半泣き状態で、メールを読む。
最後まで私はメールを読み終わると、私はその場で
泣いた。
本文
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過去のことなんかに、しないでくれよ。
恋奈のこと最近かまってやれなかったもんな。
ごめんな。
だから、勝手に別れたことにしないで?
和弥ってどうしてこんなにも優しいんだろう。
「ごめんね…」
私、バカだった。
本当に。
元カレに返信したとき
心のどこかで、元カレのことを好きな気持ちが、ほんの少しだけど、確かにあった。
和弥はずっと、私を好きでいてくれているのに。
元カレにフラれた日だって…
和弥はずっと傍にいてくれたのに…
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「今言うのは卑怯だと思うけど、今じゃないと俺のこと見てくれないでしょ?」
「…………」
そんなことを笑顔で言った、彼。
あの頃の私は、フラれたショックでただ泣くことしか出来なかった。
「俺、ずっと好きだった。立花さんに彼氏がいると知ったときも、俺の気持ちは変わらなかった。彼氏の変わりにってことでいいから。俺と…今日一緒に過ごそうよ?………これから先も。」
彼は私の返事も聞かずに自分のポケッとからハンカチを出して私の涙を拭く。
「まだ俺の手では拭き取っちゃいけないかな〜と思って…まぁいずれは俺が拭いちゃうけど?」
彼は本当に
「クスクス…もう。矢野…和弥くんだよね?ってかそんなキャラだったの?成績もいいし、賢いって聞いてたからもっとかたい感じの人だと思ってた」
優しかった。
私がそういうと、彼は再び笑顔を私に向けて、涙止まってよかったね。と言った。
そして、私の手を握って、教室から出た。
それからすべてが始まった。
元カレとのことなんて、すぐに忘れることが出来た。
和弥がいつも、傍にいてくれたから。
「なのに…なんで私……」
自分がとても嫌な人間だと思った。
そんな時だった。
再び、彼からメールが届いた。
私は内容は読まずに家から出た。
寒い夜の中、必死に走った。
街はもうすぐクリスマス。
キレイなイルミネーションでピカピカ光っていて。
たくさんのカップルがいた。
私はとにかくそんな中を走りぬける。
「えっ?恋奈??!」
幻かと思った。
「なんでここに…恋奈??」
「和弥ぁ…」
「どうした?あっ……怒…ってるの?メール見てくれたんだな…ごめんな。今日は傍に居てやれなかったもんな…つらい思い出、思い出させてごめんな?今日はここで恋奈にちょっと渡したいものあったから買ってあげようと思ってたんだよ。」
「……メール…見てないよ…」
「えっそうなんだ。じゃあ何でここがわかったの…?」
そう言って私を覗き込む彼の顔は、とても優しかった。
彼はいつも優しかった。
私が彼氏にフラれた日。
彼氏のことを忘れられなくて、泣きじゃくった去年のこの日。
和弥は泣いている私を、ただただなぐさめてくれて。
理由も聞かずに。
「私はただね…」
「え…ってかなんで泣いて…」
和弥からの質問には答えずに、私はそのまま話し続けた。
「和弥のことが好きなの。元カレなんて、どうでもよかったのっ…」
私は小さな声でそう言って、泣いた。
そんな私を、彼はあの日と同じように私に笑顔を向けてくれて。
カップルが笑い合う街の中で私を抱きしめた。
…言いたいことはたくさんあっただろうに。
それでも和弥は笑いながら
「俺だって恋奈が好きだよ?恋奈よりずっとね。」と言ってさらに私を力強く抱きしめてくれた。
彼の顔が笑顔になった。
そして、次は私の目を見て彼は言った。
「『何があった?』とは聞かないから。言えるときに言って?だからとりあえず…服買いに行こうよ。コートにパジャマって寒いでしょ?」
自分の姿を見ると、本当にパジャマの上にコートを着ただけの格好。
こんな格好で走ってここまで来たのかと思うと、顔がたちまち赤くなっていった。
「クスクス…そんな赤くなんなって。ほらっ行こうよ?」
彼が私の前に立って、手を差し出す。
私はその手を力いっぱい握った。
彼は何も言わなかったけど、きっと痛かったと思う。
でも、彼のその手に、今までの思いを伝えたかったから。
だから…ね…。
いつか、言える日が来たら言おうと思う。
元カレからのメールが来たとき、少しでも心がゆれてしまったこと。
でも、元カレからメールが来て、間違えて和弥に送ってしまったことは言わないでおこうと思う。
だって…マヌケだし…
でも!いつかは言うね?
けど、これだけは今言っておく。
「私ね…もうふっき…れてるんだから…ね…」
まだ泣きやんでいないままで急に話したので、言葉が途切れてしまった。
伝わったかな…
私はそっと彼の表情を見る。
彼は少し驚いた顔をしていたけど、またいつもの笑顔を私に向けてくれた。
「……泣き虫!!…もう泣かせないから。泣かせてごめんな?」
この涙は、嬉し涙なんだよ?
と言いたかったけど言葉にならずに泣き続けた。
彼はというと、私の涙をハンカチではなく、彼自身の手で拭きとってくれていた。
fin... あとがき
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